認知症の祖母は毎日日記を書いている。ある日、机上の日記帳がふと私の目に留まった。祖母、3月16日の日記を5行とも雑に消して、「なんかよかった。楽しかった」という具合に真ん中に大きな字で書き直していた。その日が見開きの最後で、次のページから3月17日が始まる。でも、新しいページには日付だけしか書かれていなくて、めくってもめくっても文字が書かれているページはなかった。祖母は日記が書けなくなったのだ。時々、それでも何か書かなければという意識によってか残された動物のイラストが物悲しい。3月17日、書こうと思った日記が書けず、前日を消して振り返る。昨日のことなのに思い出せない。長年続けていた日記、なんかよかったとしか書くことができなかった祖母の悔しさを思って泣いたという夢を見た。